Photoshop(フォトショップ) CG講座



其の2:障害を乗り越えて



更新:00/02/01

赤緑色覚異常という言葉をご存じでしょうか。色弱異常とも呼ばれています。
これは赤と緑が見えにくい、区別が付きにくいという色の見え方に関する遺伝です。異常という言葉は好きではなく「個人の個性」と私は考えていますが、「異常」と書いた方がニュアンス的には解りやすいかもしれません。

色の見え方を言葉で説明するのは難しいのですが、以下のような例を考えてみると若干解りやすくなるかもしれません。
緑色の葉をつけた柿の木に、赤い柿がなっています。普通の人であれば赤く熟した柿を見つけられますが、赤緑色覚異常とされた人の場合、柿の実の色が葉の緑と区別できず、柿の実が見えない、もしくは見つけにくいことがあります。
間違っても、赤が緑に見えるとか、緑が赤に見えるのではありません。混ざると見分けが付かなくなるのです。

実生活においては、色が違って見えるわけではなく、区別が付きにくいだけですので特に問題なく生活することが出来ます。車の免許だって取れますし、職種制限も以前のように厳しくはなくなってきた…はずです。

わたしもこの色覚異常だったりします。どの程度の症状かということを示す基準等はあるのか不明ですが、病院にて検査したところ、かなり重度の異常と判断されました。実際、検査表の半分も見えませんでしたし。
ですが、上にも書いたとおり、実際の生活では滅多に問題が起こることはありません。

ただし、CGを描くという場合に、一つだけ困った問題があります。それは、モニター上の色が正しく見えないという事。特に肌色と緑の区別が付かないんですね。ただ、モニターで見ると解らない色であっても、印刷すると判別が付くので、特にモニター上において、症状がひどいようです。
想像ですが、自然界で見る色は日光が反射して映っている色に対し、モニターのように色の反射が無く一次的(?)なデバイスだと、見えにくい…のかもしれません。たとえば、色鉛筆で着色したイラストは、黄緑と肌色の区別が付きます。

これがモニターになると、まったく解らないのです。


色の見え方の違い

この2つの色ですが、みなさんはどう見えますか? おそらく違って見えると思います。左側がR:G:B 128:244:164、右側がR:G:B 236:236:162です。普通の人には一発で区別が付くと思います。
ですが、私の場合は同じような色に見えます。若干違うなぁ…程度には見えるのですが、こうして並べると若干左の方が緑がかっているかな、程度で、離れてみると同じ色に見えます。

上の色を服等に着色した場合ですと、たとえ色が違って見えたとしてもそれほど問題はありません。服の色がこういう色だったとしても、そこまで問題は無いかと思います。


肌色

同様に、上の色の区別も付きません。こうして並べると微妙に右側が緑がかっているのは解るのですが、普段ではまず解らないと思います。左はいつも着色の際に使っている肌色です(ちょっと青が弱いです)。右はカラーパレットからまったく同じように見える色をスポイトで吸い取ったものです。
このように肌などの「特有」の色については問題があるのです。さすがに右側の色で肌が塗られているとびっくりしますよね。どうもR:G:BのR(赤)の識別が苦手みたいなのです。

なお、上の色は私が使っている環境での色です。ビデオカード、モニター、色温度など様々な要素でモニターに最終的に表示される色は異なってきますので、当然他のコンピューター上では違ったように見えます。
ですので、同じ色でも場合によって見えたり見えなかったりすることがあります。大学でこのページを見たときにはちゃんと違って見えたのですが、家では同じに見えます。このへんが結構ややこしいんですよね。

CGを見る上では問題がないのですが、着色する際には非常に大きな問題となります。カラーパレットから色を拾ってしまうと、とんでもない色になっている可能性があるのです。実際に、一度肌色かと思って着色したら全身黄緑色だったということがありました。

もともと好きでイラストを描いていたのですが、CGというものを知って描きたくなったときにこの問題にぶちあたったのです。一時は描くことを諦めようかとも思いましたが、いくつかの悪あがき(笑)を経て、現在ではある程度正常(?)に着色が行えるようになりました。仕事などで描かせて頂く機会も増えたのですが、今のところ特に問題は無いようです。

ここでは、色の見え方に問題がある場合に、どのように色を決めていけば良いのか、という点について説明していきたいと思います。たとえ色の見え方に障害があってもちゃんと描けるんだ、ということです。
もし同じような悩みを持っている方がいらっしゃいましたら、参考にしてくださると幸いです。

ただ、この方法でも着色が出来ますが、やはり出来上がったCGは私が見ている色と他の方が見ている色とは違っていると思います。自分が着色したCGが他の方から見てどのような色になっているかは、やっぱり解りませんからね。
私の場合、自分が意図した通りでなくとも、他の方からみておかしくなければとりあえずいいかな〜、という感じです。色が全体的に淡く着色してあるのも、原色だと色が違うと一発でばれるのですが淡いと結構ごまかせるからだったりします。色が違っても淡く着色してあると解りにくいですからね(^^;



0.色鉛筆で着色する(笑)

昔使っていた手法です。色鉛筆の色はわりと正しく見えるので、昔は色鉛筆で着色、それをスキャナで読みとってCG化していました。今から考えるとよくあんな暇なことをやっていたな〜、なんて思います(^^;
ジャンクCGのページには、そのころの作品がいくつか残っていたりします…が、今回の「CGを描く」ということにはあまり関係がありませんから、細かくは説明いたしません。



1.スポイトツールの活用

…サンプルが滅茶苦茶古いCGで申し訳ないのですが…(´Д`;)

まず、私が考えた最初の方法は、他のCGの彩色を流用するという方法でした。スポイトツールを使って、他のCGから色を吸い取るわけです。下の例はあくまでも解りやすいように作ったものです。
ちなみに、現在ではこの方法は使っていません。


スポイトで吸い取る

※右のCGは逢坂呼志也さんの描かれたCGです。ご本人に使用許諾を取ってあります〜

まず、方法としては自分の描いているCGと、見本になるCGの2つのウィンドウを開きます。ここでは左側に私のCG、右側に逢坂呼志也さんの描かれたCGを表示しています。
次に、スポイトツールにて色を吸い取ります。カーソルがスポイトツールになっているのが解りますね。ツールカーソルを詳細に設定してあるので、このようなカーソル形状になります。カーソルの形状は[CRTL]+[K]にて設定が出来ます。

こうして着色していくわけです。

この着色方法の欠点としては、当然ですが参考にしたCGで使われている色しか使えない、という問題点が存在します。ある程度の範囲内であれば色を加工することも可能ですが、色の見え方に自信がないと、色をいじるのはなかなか難しいです。



2.オリジナルのパレットを利用する

残念ながら、Photoshop5.0以降ではスクラッチパッドが利用できなくなっていますので、この方法は直接は使えません。
ただし、スクラッチパッドを利用しなくても、新規画像にグラデーション等を予め作成しておき、1番の方法を流用すれば一応は着色可能です。


肌色に設定したスクラッチパッド(Photoshop3.0.5)

Photoshop3.0.5等にはスクラッチパッドというものがあります。これは最初はRGBのスペクトラムになっていますが、自由に着色したり、保存、読み込みが可能です。ここに肌のグラデーションを作っておき、これを利用するわけです。

まず、スクラッチパッドを開きます。グラデーションツールを選択し、オプションで[スタイル]が「描画色から背景色へ」になっていることを確認します。スポイトツールで一番くらい部分の肌色を吸い取り、背景色を白に変更します。


グラデーションオプションの設定

スクラッチパッドを開いたら、グラデーションツールを使って塗りつぶします。これで上のようなスクラッチパッドが出来上がります。スクラッチパッドをロックしておくと、誤って消すということが無く便利かと思います。


スクラッチパッドのロック

なお、この方法は結構いろいろと使えます。わたしの場合、特に緑が弱いので、緑の着色の際にはやっぱりこの方法を使っています。やっぱりゲーム中などで使っている「そのまんまの色」が着色するなら一番「安全」です。


マルチのスクラッチパッド

上の例は、かなり前にマルチ(LeafのToHeartに出てくるキャラクタ)のCGを着色するときに使ったスクラッチパッドです。ずっとマルチの髪の毛は黄緑だと思っていたのですが、実はかなり濃い緑だったんですね。
このようにどうしても見えない色を着色するときには、専用のスクラッチパッドを使っています。

髪の毛の明るい部と影の部分、あとハイライトのそれぞれ2色を取り出して着色、ついでにゲームの画像の一部を切り取ってスクラッチパッドに貼り付けて使用しています。
こうしておけば、どこでどの色を使っているのか一発で解るのです。

現在では3番の色を数値で読む方法を使っていますので、自分の見えにくい色については数値で予測することが可能です。しかし、たとえばキャラもののCGを彩色するような場合には、やはり色についてはシビアにならざるを得ません。
そこで、キャラもののCGの場合、ゲーム画面をキャプチャしたものをレイヤーとして配置し、そこから色を吸い取る、あるいはRGBの値を確認しながらの彩色を行います。



3.RGBの色を数値で読む

現在私がCGを着色するときに使っている方法です。

上記のスクラッチパッドを使った方法ですが、着色する際に毎回スクラッチパッドを読まないといけないという手間と、色によってスクラッチパッドを作り直さなければいけないという欠点があります。


複合スクラッチパッド

上のようないろいろな色のスクラッチパッドをつくってもいいのですが、やはり「目で見て選ぶ」ということを行っている以上、正しい色が選択されているとは限りません。そこで、私はRGBの値を読んで色を付ける、という方法を使って着色しています。
下のウィンドウはPhotoshop(3.0.5)の色選択ウィンドウです。


色選択ウィンドウ

ここでR、G、Bと書かれたバーに注目してください。色というのは光の三原色、赤、緑、青の合成によって構成されています。つまり、この値をいじることによって様々な色を作り出しているのです。
現在選択されている色を例に取りますと、視覚による色の見え方は違っても、数値で表現すれば誰でも同じように見えます。この場合ですと255:232:217というのが数値です。このRGBの合成比によって色を数値として「読む」わけです。

これは完全に慣れだと思います。何度も繰り返して肌色の色の比はどれくらいで、Gがこれくらいだと黄緑で、これくらいだと緑…という具合に、塗って覚えるしかありません。
また、この方法はRGBモードの色選択を選んでいる時にしか使えません。HSBやCMYKといったパレットでは色を表す数値が異なるため、再度覚え直す必要がありますので効率的では無いと思います。

いままでの経験ですと、数値よりもRGBそれぞれの△の位置(数値)を結ぶ曲線で捉えると楽かと思います。色の濃さを変更せずに明度を落とした場合の△の位置の変化をある程度把握すると、色を作ることが簡単になるかと思います。
この辺は人によって違うと思いますし、試行錯誤してみると良いかと思います。



4.モニタで補正する

えーっと、この方法ですが、いろいろと弊害が大きいと思いますのでお勧めしません。なぜなら、モニタの色を変更してしまうことは、当然画面に表示される色全てが変化してしまいますので、正しい色も違って表示されてしまいます。
ですので、ベストな方法としては、やはり3の数値で読む、という事だと思います。モニターは常に正しい色に設定しておきましょう(出荷時の初期設定等)。




5.印刷してみる

これが結構重要だったりします。冒頭でも述べてますが、モニタで見るよりも印刷した方が、色の差がわかりやすいんです。つまり、モニタで解らなかった色の差が、印刷すると解る場合があります。
ちょっと色に自信が持てなかったり、業者に頼んでカラー印刷を行う場合等は、インクジェット等のカラープリンタで一度印刷してみることをお勧めします。

印刷を行ってチェックし、色が違っているようであれば、その部分に着色しているレイヤーの色相を変化させます。この際の色はスポイトで色を吸いながら、数値でチェックするといいでしょう。
着色するパーツ毎にレイヤーを分ける塗り方の場合、こういったパーツ毎の色補正も楽に出来ますのでお勧めです。



最後に

こうして、いまではRGBの色を数値で読みつつ着色しているのですが、慣れてしまうとそんなに不便は感じなくなります。現在ではRGBの値を読む作業もかなり慣れて、ある程度なら色を値で読めるようになりました。
識別の付きにくい色の場合にはRGBの値を読む方法をメインにしていますが、他のCGから色を拾うこともあります。特にキャラものの絵を描く場合には、必ず色をチェックするためにゲーム画面のCGなどを利用しています。

色が正しく見えないのでCGは描けない、と諦めている方とかいらっしゃるみたいですが、諦めないで頑張れば必ずどうにかなると思います。とりあえず私の場合は、いろいろと着色方法に迷ったりしましたが、仕事でCGを描かせていただけるようになりました。色の問題さえ乗り越えれば、CGの仕事も問題なく行えるかと思います。

重要な事は1,諦めないこと、2,自分がどの色を苦手としているか把握すること、3,その問題を解決するための方法を見つけること、の以上だと思います。ここで紹介しているのはあくまでも一例です。他にもいろいろな方法があると思いますので、ここで紹介している方法を参考にするのも良し、いろいろ試行錯誤してみるのも良し、とにかくトライしてみることが大事だと思います。

とかなんとか偉そうなこと言ってますが、なんていうか(´Д`;)

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